2024.08.28
【事例報告】玉葱選別機の実証
加工業務を中心に国産玉葱の需要は安定しており、各地で玉葱の作付けに取り組まれる事例も耳にする機会が多くなりました。玉葱は排水対策をしっかり行えば水田転換畑で栽培することができる点、播種~定植、栽培管理、収穫までの機械化体系も整備されていることも、追い風になっていると思われます。一方で、春先のべと病の対策や防除、収穫時期が梅雨に重なることにともなう作業遅れや品質の低下、収穫後の乾燥・貯蔵の設備などの課題が生産拡大のボトルネックになっています。
また、業務加工向けの出荷においては、鉄コンテナで流通・保管も行われており、サイズ選別や形状に幅が持たせることができるため、生産者は栽培に集中できるメリットがあります。但し、業務用途は契約した価格で流通になることも多く、栽培時に専用機械が求められる玉葱の体系では機械の取得や償却の収支は厳しい状況になります。
少しでも収支を改善するために全量加工用途ではなく、一定割合を青果用として出荷される生産者や地域があり、前置きが長くなりましたが、今回、玉葱のサイズ選別機の実証を行いました。検証した結果感想は以下の通りです(実証機種:㈱ニシザワ N-11-403D )。
- 選別を手作業で行うと時間がかかり、作業スピードの個人差が大きい。選別機を導入することで、仕分けも均一になり、作業効率が格段にアップした。
- 選別作業は精神的にも負担が大きかった。根切や葉切は、単純作業でもそれほど精神的には負担にならなかった。
- 加工向けで収穫した青果物であったため、磨き作業が必要になった。こちらは作業量、精神的な負担いずれも大きく、選別同様、磨き工程の機械の活用を検討したい。
一貫体系の導入が理想であるが、予算的にも制約があるため、栽培安定や収益確保を進める中で、継続的な設備投資をしていきたいとのことでした。