省力化・コスト削減・環境にやさしい提案⑮ 水稲育苗の省力化
今年の桜の開花は例年より遅れ気味で、桜前線はようやく北関東に到達したそうです。3月の後半は雨も多く、まもなく始まる水稲の作付けの圃場準備も少し遅れているとの声も伺います。一方、そのような中でも水稲育苗の準備は着々と進められています。
水稲の育苗方法は地域によりさまざま方法で行われますが、早い時期の育苗の低温被害や気温が上昇してからの高温による苗焼けを防ぐために、育苗シートが用いられます。多くの地域では、アルミ蒸着したフィルムや発泡シートなどが用いられます。それぞれ保温性、遮熱性、耐久性、導入コストなど観点から選択されています。
さらにここ最近は、作業性の観点からポリエチレンフィルム(PE)を用いた育苗シート(ハイワイトシルバー)を利用される地域も増えています。特徴は
①従来の製品より、軽く作業性がよい(幅2.3m・長さ50mで約6㎏)。規格も特注の3.6m巾までラインアップ
②0.05mm厚のPE素材でで耐久性に優れ、折り目からの裂けや剥離などが発生しない
③ハイホワイト(白色面)の高い反射効果とシルバー(裏面)の保温・断熱効果を両立し、適度な光線を通し、白化現象を抑制
ご使用された方からは、遮熱や保温の性能に加え、特に軽いことでの作業性を高く評価をされているようです。「不織布とシルバーのシートを2重にかけていたが、1枚に集約できる」、「狭い巾のシートを重ねていたが、広い規格があり1枚で済むため作業時間が削減できる」、「資材費が上昇する中で、更新時の費用を抑えられた」、「収納がかさばらず片付けしやすい、長持ちする」などの声もあがっています。
一方で、どのシートを使用されるにしても各生産者にて、「気温や品種に合わせて展張する日数を調整している」、「ハウスの温度に細心の注意を払いこまめにサイド換気やシートの開閉をしている」など製品性能に頼りすぎず、経験と勘に裏打ちされた技術を備えておられます。
昨年は温暖化により、米の品質低下が各地で発生しました。今後も続く温暖化のさまざまな対策として、品種や作型が変われば、育苗時期や方法も従来通りでなく、適応することが一層求められると想定されます。